サイドミラー落下の図。初めて見るとショックが大きいことでしょう。
NAロードスターは、今や珍しい手動サイドミラーです。NB以降、新型のNDロードスターも手動可倒式ですが、ミラー角度調整は電動です。しかしながら、NAロードスターの場合、根元からぐりぐり手で動かすタイプ(ND同様の電動角度調整オプション等もありました)で、近年まで生き残っている車両は固着してほぼ「不動サイドミラー」化しているものがほとんどです。
不動でも困らない人は困らないのですが、複数の人が乗る車両や、機械式駐車場に入れる場合など、ミラーを動かす必要性に駆られます。そんなとき動かないと困るので、修理する必要が出てくるでしょう。ちなみに私は、機械式駐車場から出庫する際、畳んでいたミラーを開いたら、みごとに折れて落下しました・・・。その時は機械式駐車場のターンテーブル上で、いささか時が止まった世界に入門してしまったことを思い出します。
さて、折れる前に、動きが悪いなと思ったら、早めに対処した方が賢明です。中でボルトが錆びて朽ちているので、「動かなくてもいいや」と思っていても、いつか突然折れてしまうこともあります。
対処法ですが、サイドミラーはアッセンブリーのため、そっくり交換が正しい対処方法です。同色部品があれば、片側10,000円〜15,000円くらいで買え、交換は非常に簡単なので、自分でやるのがおすすめです。外す時部品を割ったとしても、新品をつける時に失敗することはまずないでしょう。
しかしながら、最近までぼちぼちあったメーカー在庫も、ここのところ見つからない色が増えました。同色の部品がない場合、他色部品を塗装することになりますが、そこまでやるとかなりコストがかかってしまいます。そんな困っている人のために、DIYできる修理法を紹介します。メーカー整備書にない方法なので、くれぐれも自己責任で。
下部に、いかにも「内張剥がし的なものを入れてください」と言わんばかりの穴があります。そこに軽くつっこみ、テコの原理で上にあげましょう。その際、上側にツメがあるので、それが折れないようにうまく上側にスライドできると満点です。正直なところ、折れる方がスタンダードなので、折れても凹まないようにしましょう。現物の接着具合、経年劣化具合による運次第だと思います。
下部のネジを2本はずす
外れた状態。汚れがひどい・・・
うまく剥がれると、皮の部分がこのように回転して動くようになります。そうしてプラスドライバー(3番)で2本のネジをはずしましょう。これだけでボディとサイドミラーが分離できます。
マイナスドライバーを差し込む
ねじってカバーの接着をはがす
ボディと分離したら、鏡部分の根元に近いあたりにマイナスドライバー(先端は養生しましょう)を入れ、ネジを回すように回転させます。そうすると、黒いカバーとミラー本体の接着が取れます。これを外周1周行うと、黒いカバーが外れます。インターネット上では、よく「カッターを入れる」と書かれていますが、外れた写真を見てわかる通り、カッターを入れる意味は全くありません。無駄にキズつくだけなのでやめましょう。
テープなどで引っ張る
ミラーまで分解完了
カバーが外れたら、ミラーを外します。養生テープなどを写真のように貼って、ミラー本体を外に軽く広げつつ引っ張れば外れます。吸盤を使う人もいるようですが、それでも良いと思います。手元にある材料を使って外しましょう。
次にボルト類を外していきますが、すでに折れてしまった人は、折れてバラバラになっていることでしょう。折れていなければ、またこの分解作業で折れなければ、一部部品の再利用ができ、オリジナルの状態にほぼ戻すことができますが、折れていると、たぶん完全復旧ルートではなく、互換復旧ルートに進みます。この説明は後ほど。
ボルトとナットをまわす
完全分解完了
写真のようにメガネレンチとソケットレンチを組み合わせて上のボルトと下のナットを回します。KURE556などを全力で吹いておき、少しでも回しやすく、また折れにくくしておくとよいでしょう。この作業でボルトが折れることもあります。神に祈りつつ回してください。固まっている角度により、下側にメガネレンチが入れられる場合もありますので、状況によってうまく工具を使いましょう。下側のナットが外れても、上側のボルトも回して外していくことになります。
再利用部品を洗う
分解ができたら、きれいに洗いましょう。ボルトは錆びているので捨てます。そもそもこのボルトのサビが元凶で起こっている問題なので、ボルトの差し替えが主目的となります。
再利用必須のスプリング
レノバスプレーでスプリングなどの赤サビを転換
大きいスプリングは再利用必須(今のところ良い汎用品が見つからない)なので、サビをきれいにしておきましょう。サビ転換剤(レノバスプレーやサビチェンジャーなど)で、赤錆を黒錆に転換すると、皮膜もできておすすめです。中まで錆びていると辛いんですが・・・。
ボルト、ナット、ワッシャーなど
再利用部品をきれいにしたら、いざ取り付けです。部品が全て生きている人は、このようにボルトナット類を揃えればOKです。全てM5サイズです。上からナット(ゆるみ止め機能付きナットが理想)、スプリングワッシャー、20mmワッシャー、[再利用部品のスプリングと半球体]、ワッシャー、スプリングワッシャー、45〜50mmボルト、という順になります。元々はボルトの上下が逆ですが、この方が後で調整しやすいので、このパターンがおすすめです。もちろん上下逆でも問題ありません。
ボルトが折れてしまった場合、おそらく半球体の部品とボルトの破片が分離できず、半球体の部品が再利用できないケースが多いと思います。その場合は、半球体の温存を諦め、代わりに20mmワッシャーを同じ位置に差し替えましょう。内部のため見た目はもちろん変わらず、それなりに動いてくれ、仕上がりのフィーリングにほとんど差はありませんのでご安心を。
単体組み付け完了
ボディをきれいに磨く
単体組み付けが完了したら、あとは車体に結合します。まずは汚いボディをAUTOGRIMなどで気合を入れてきれいにし(きっと淡色ボディでは2時間くらいかかるでしょう・・・)、ねじ2本を取り付けて元の状態にします。この時点では、動かした時のフィーリングをチェックして締め付け度合いを調整するので、ミラーはつけず、開放状態で行います。軽くネジ止めした状態で、ミラー角度調整をしてみて、もっと重くしたい、軽くしたいなどにあわせて再度はずして調整してください。組み付けた状態では、下側にレンチが入らないので、ボディから外さないと調整できません。
ミラーをつけずに締め付け具合チェック
作業完了
ちょうどいい締め付け具合が見つかったら、ネジをしっかり取り付けたあと、ミラーをはめ、黒いカバーをつけて完了です。黒いカバーは、元と同じように、外周のくぼみ箇所に点々と接着剤をつけておけば大丈夫です。プラスチック、ポリプロピレン類でも接着できる接着剤をチョイスすると良いです。全体に接着剤を塗ってしまうと、あふれて困ったり、また再度調整するときに剥がせなかったりと問題があるので、点々接着を心がけると良いと思います。
それでは、良いDIYライフを!